
インタビュー
吉祥生は何に対しても「熱い」人が多く、学校行事、勉強、部活、人間関係――すべてに、本気で向き合う空気がありました。私が長きに渡って夢を追い続けられたのも、そういった吉祥魂のおかげかもしれません。
脚本家、小説家福田果歩さん
- 現在の様子を教えてください。
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福田果歩さん(以下、福田果歩)
映画の脚本や小説を書いています。2025年1月10日公開の映画『366日』で脚本家デビューし、同作のノベライズ小説も執筆しました。また、同年1月16日にオリジナル小説「失うことは永遠にない」を出版し、小説家としてもデビューしました。まだ執筆だけで生計を立てるのは難しく、以前勤めていた映画配給会社の宣伝部でアルバイトを続けています。
- 吉祥での生活を振り返って思うことを教えてください。
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福田果歩
本当に自由な学校で、好きなものを好きと言える環境だったなと思います。吉祥に入学した時にはすでに「作家になりたい」という夢があったのですが、それを最初に伝えることができたのは吉祥の友達でした。お互いの「好き」を認め合えるというのは、簡単そうで簡単じゃない。多感な時期にそういう恵まれた環境にいられたのはラッキーだったなと思います。そして、吉祥生は何に対しても「熱い」人が多く、学校行事、勉強、部活、人間関係――すべてに、本気で向き合う空気がありました。私が長きに渡って夢を追い続けられたのも、そういった吉祥魂のおかげかもしれません。
また、私は小学校時代に転校が多く、なかなか人と深い繋がりを持つことができなかったのですが、吉祥に入って初めて自分の居場所ができたような感覚がありました。吉祥の仲間たちから、人を大切に思うことや、人から大切に思ってもらえることの温かさを教えてもらえたように思います。勉強は好きではありませんでしたが(笑)、友達と学校が大好きでした。特に高校時代に入部したソフトボール部の仲間たちとは今でも仲が良く、家族のような存在です。
- これからの目標について教えてください。
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福田果歩
まだデビューしたばかりなので、これからたくさんの経験を重ねて少しずつ実力をつけていきたいと思っています。学生の頃に憧れていたあのキラキラした感情、映画や小説が好きという素直な気持ちを失わずに書き続けていくことが、いまの目標です。
- 吉祥生へのメッセージをお願いします。
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福田果歩
自分の好きなものを見つけたり、好きなものを素直に好きと言ったり、「好き」を続けていくことは、案外、結構むずかしいことだと思います。私自身、小学6年生の時に夢を持ってから夢が叶うまで22年(!)もかかったのですが、その間、書くことをずっと好きでいられたわけではありません。高校でソフトボール部に入ってからは部活に熱中して小説は一切書かなくなったり、社会人になってからも映画の宣伝の仕事が楽しくて一切脚本を書かなくなった時期もありました。けれど、そうやっていろいろな回り道や寄り道をすることが、「好き」の気持ちを消してしまわないためにも必要なことだったのかな、と思います。
なので無理はしないで、そのとき楽しいこと、やりたいことを優先するのも大切で、きっと必要な時間なんだと思います。そして一番大事なのは、夢が叶う、叶わないで、その人や人生の価値が決まるわけではないということ。大切なのは何かに本気で取り組んだという過程であって、結果はあくまでただの結果。私もまだまだ、過程の最中でもがき続けます。
Profile
福田果歩さん
脚本家、小説家
経歴
- 2003年4月
- 吉祥女子中学校入学
- 2009年3月
- 吉祥女子高等学校卒業
- 2009年4月
- 日本大学藝術学部映画学科入学
- 2013年3月
- 日本大学藝術学部映画学科卒業
大学卒業後、アルバイトをしながら脚本家に師事
- 2014年4月
- 株式会社電通に契約社員として入社
- 2017年1月
- TOHOマーケティング株式会社に転職、東宝宣伝部に所属
- 2022年12月
- 第48回 城戸賞 準入賞受賞(『ぼくたちの青空』)
- 2023年4月
- 東宝企画部へ異動、同年9月より執筆業のため休職
- 2024年7月
- 退職したのち、アルバイトとして東宝宣伝部に勤務
- 2024年11月
- 小説「366日」出版(光文社刊)※映画書下ろし小説
- 2025年1月
- 映画『366日』公開(松竹配給/脚本担当)
小説「失うことは永遠にない」出版(小学館刊)