インタビュー
研究の世界でもいろいろな所でいろいろな人とつながっています。人と人のつながりは大切だということです。
ドイツ、マックス・ブランク研究所勤務川添史子さん
- 現在に至るまでの経緯を聞かせてください。
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川添史子さん(以下、川添史子)
大学の学部4年の終わりから、三鷹の国立天文台で重力波研究チームに加わりました。その年、LIGO(アインシュタインがその存在を予言した重力波検出のための大規模実験と施設)のあるカリフォルニア工科大学のサマープログラムに選ばれ、そこで3ヵ月研究をしたことがきっかけで、修士課程では研究内容の半分はカルフォルニア工科大学で行いました。その後、日本に戻り、博士号のための研究を国立天文台で行いました。
将来型の重力波検出器開発の制御について研究していたことがきっかけで、卒業後、ドイツのマックス・プランク研究所でポスドクとして働くことができました。その後、重力波検出器のチームで8年間働いています。また、マックス・プランク研究所の博士課程の科学教育にも心を打たれ、スクールコーディネーターの仕事もしました。
2014年より、メンバー100人以上を率いるチーフ・オペレーティング・オフィサーの仕事を得て、重力波チーム、量子光学チーム、電子時計チーム、相対論理論チーム、地測学チームからなるメンバーを率いています。最高のチームと働くことができ、幸運に思います。
2016年には、重力波の観測に成功し論文も出しました。著者は1000人いるのですが、嬉しさは、1000分の1にはなりません。重力波の直接観測という地道な第一歩でありますが、その始まりのステージを同僚と共に踏めたことは、最高でした。とても嬉しかったです。
- 吉祥を卒業してから思う、吉祥の良さを教えてください。
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川添史子
吉祥女子は、在学中からも思っていたのですが、素敵なのびのびとした学校でした。あの頃より社会人になった今の方が、より学校の良さがわかるような気がします。実は研究を行う際、社交の時間も大切な時間です。その中で、話をし、仕事をスムーズに進めるという側面もあるということです。研究の世界でもいろいろな所でいろいろな人とつながっています。人と人のつながりは大切だということです。今でも吉祥女子在学中の友達とは付き合っています。また、素晴らしい先生たちにも影響を受けることができ、感謝しています。
- これからの夢を聞かせてください。
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川添史子
実は本当はこれからだと思っています。今までは宇宙を見るには電磁波を使った望遠鏡しかありませんでした。しかし、重力波は、宇宙の始まりビッグバン間もない頃から漏れだしていたものです。重力波を日常的に検出できるようになることで、重力波を媒介にした新たな天文学が開かれていくと思っています。それにより、不思議に満ちた宇宙を少しでも解明されるのではないかと思います。ワクワクしています。
Profile
川添史子さん
ドイツ、マックス・ブランク研究所勤務
経歴
- 1999年3月
- 吉祥女子高等学校卒業
- 1999年4月 お茶の水女子大学物理学科入学
- お茶の水女子大学理学部物理学科入学
- 2005年3月
- お茶の水女子大学物理学大学院理学専攻物理科学コース修士号取得
- 2008年3月
- お茶の水女子大学大学院理学専攻物理科学コース物理学博士号取得
- 2008年~2014年
- マックス・プランク研究所(ドイツ)重力波物理
ポスドクを経て、科学者、博士課程プログラム・デブティ・コーディネーター
- 2014年より現在
- マックス・プランク研究所(ドイツ)重力波物理
科学者
コラボレーティブ・リサーチ・センターチーフ・オペレーティング・オフィサー